東京高等裁判所 昭和31年(う)982号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判旨〕記録を調べてみると、被告人は藤原雄一の名をもつて昭和三〇年三月二五日に横浜地方裁判所において、覚せい剤取締法違反被告事件によつて、懲役四月に処する、三年間右刑の執行を猶予する、被告人を保護観察に付する旨の裁判を受け、該裁判は同年四月九日に確定したことを知り得るのであるが、被告人の本件犯行は従つて右刑の執行猶予期間中のものであつたのであるから、本件事犯に対する裁判においては刑法第二五条第二項但書によつて、更に刑の執行を猶予する言渡をすることはできない筋合であつた。ところが原判決は本件事犯につき被告人を懲役一〇月に処し、未決勾留日数中九〇日を右刑に算入するとした外、更に二年間右刑の執行を猶予する旨の言渡をしたのであつた。かくのごときはこれ、前示昭和三〇年三月二五日の横浜地方裁判所における確定判決のあつた事実を誤つて知らなかつたか、或は刑法第二五条第二項但書の規定を誤つて適用しなかつたのいずれかであつて、違法な裁判であつたといわなくてはならない。従つて論旨は理由あるものというべく、原判決はこの点において破棄を免れない。